話を聞いているつもりなのに、すれ違う理由を考え続けている

2026年01月15日


人の話を聞くことは、簡単なようで、実はとても難しいものだと感じています。
相手が話している間、うなずきもするし、相づちも打つ。
表面だけを見ると、きちんと聞いているように見える。
それでも、会話が終わったあとに、どこかズレた感覚が残ることがあります。

ある打ち合わせの場で、私は相手の話を最後まで聞いたつもりでした。
内容も理解したつもりで、頭の中では次にどう動くかを考えていた。
ところが、話が終わったあとに返した言葉が、相手の意図とは少し違っていたようでした。
その瞬間、場の空気がほんのわずかに変わったのを、今でも覚えています。


あとから振り返ってみると、私は「聞いていた」のではなく、「判断しながら聞いていた」のかもしれません。
話の途中で結論を予測し、自分なりの答えを先につくってしまう。
その結果、相手が本当に伝えたかった部分を、取りこぼしていたような気がしました。

正直に言うと、私は聞くことが得意だと思っていた時期があります。
話を遮らないし、最後まで聞く。
それだけで十分だと思っていました。
でも、話を最後まで聞くことと、相手を理解することは、必ずしも同じではない。
最近は、そう感じる場面が増えています。


聞くという行為には、思っている以上に自分の姿勢が表れるのかもしれません。
自分の考えを早く伝えたいときほど、相手の言葉は頭に入りにくくなる。
時間がないと感じているときほど、要点だけを拾おうとしてしまう。
その積み重ねが、少しずつズレを生んでいく。
そんな気がしています。

だから最近は、話を聞くときに「分かった」と思った瞬間ほど、注意するようにしています。
本当に分かっているのか。
自分の解釈を、相手の言葉に重ねていないか。
心の中で、そっと問い直すようにしています。

もちろん、うまくいかないこともあります。
聞いているつもりでも、後から「違ったかもしれない」と思うことは、今でもあります。
それでも、以前よりは、すぐに結論を出さずにいられる時間が増えたような気がしています。


私が聞く力を大切にしたいと思う理由は、とてもシンプルです。
仕事は、人と人の間で進んでいくものだからです。
どれだけ経験を重ねても、相手の中にある考えや気持ちは、聞かなければ分からない。
そして、聞いたつもりになることが、一番の落とし穴なのかもしれません。

経営の立場にいると、判断や決断が求められます。
だからこそ、「早く理解したい」「早く結論を出したい」という気持ちが先に立つこともあります。
でも、その焦りが、相手の言葉を浅くしてしまうこともある。
そのことに、少しずつ気づいてきました。

聞く力は、技術というより、姿勢に近いものだと思っています。
相手の話を、相手のものとして受け取ろうとすること。
自分の中で整理する前に、まずはそのまま置いてみること。
簡単ではありませんが、その積み重ねが信頼につながっていくのではないか。
今は、そう考えています。

まだ途中です。
聞けていないと感じる日もあります。
それでも、分かったつもりで進まないこと。
それだけは、これからも大事にしていきたいと思っています。


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