2026年08月13日
札幌市東区で訪問看護・訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅を運営している、合同会社TOURI代表の森です。この記事は、退院支援に関わり始めた新人ケアマネジャー・退院調整に携わる在宅スタッフに向けて、退院前カンファレンスの目的と当日の進め方、在宅側が事前にしておきたい準備を整理したものです。
結論(先に要点だけ)
- 退院前カンファレンスは、入院中の医療機関と在宅を支えるチームが、退院後の療養を切れ目なくつなぐための情報共有・顔合わせの場。
- 所要時間は概ね15〜30分と短い。多くは病院側(退院調整看護師・MSW)が司会し、主治医の説明→病棟看護→リハ・薬剤・栄養→在宅側の確認、という流れで進む。
- 短時間で密度が高いため、在宅側が「何を確認したいか」を事前に整理していないと、聞き漏らして退院後に困りやすい。
- 訪問看護には退院時共同指導加算、居宅介護支援(ケアマネ)には退院・退所加算があり、いずれも入院中の医療機関との共同・面談が要件。ただし単位数や回数などの詳細は最新の報酬告示・自治体の案内でご確認ください。
退院前カンファレンスとは?何のために開くのか
退院前カンファレンスは、退院が近づいた患者について、病院スタッフと退院後を支える在宅チームが集まり、在宅療養に必要な情報を共有・調整する会議です。目的は大きく二つあります。一つは、入院中に行われていた医療・ケアの内容を在宅側が正確に引き継ぐこと。もう一つは、これから自宅に伺う訪問看護師やヘルパーが、退院前に本人・家族と顔を合わせて関係づくりを始めることです。
現場感覚でいうと、後者の「顔合わせ」の価値は大きい。退院当日に初対面で家に上がるのと、一度病院で言葉を交わしてから伺うのとでは、本人・家族の安心感がまるで違います。
誰が参加する?
参加者は本人の状態によって変わりますが、典型的には次のような顔ぶれです。
病院側は、主治医、病棟看護師、退院調整看護師、医療ソーシャルワーカー(MSW)、リハビリ職、薬剤師、管理栄養士など。在宅側は、在宅医、訪問看護師、ケアマネジャー、訪問介護(ヘルパー)、訪問リハビリ、調剤薬局の薬剤師など。そして本人・家族も参加します。全員が毎回そろうわけではなく、ケースに応じて必要な職種が集まります。
当日の流れは?(15〜30分の進め方)
短時間で進むため、順番と役割の目安を頭に入れておくとスムーズです。
| 順番 | 担当 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ① 経過と病状 | 主治医 | 入院までの経過、現在の病状、今後の見通し |
| ② 療養上の注意 | 病棟看護師 | 服薬、処置、在宅で必要な医療機器・材料 |
| ③ 生活動作 | リハビリ職 | 歩行・移乗・排泄などの動作レベル、住環境の注意点 |
| ④ 薬・栄養 | 薬剤師・栄養士 | 服薬管理の注意、食事形態・栄養の留意点 |
| ⑤ 在宅側の確認 | ケアマネ・訪問看護 等 | 不明点の確認、退院後のサービス調整、緊急時の連絡方法 |
司会は病院側(退院調整看護師やMSW)が担うことが多いですが、地域によってはケアマネが進行することもあります。医療用語が飛び交いやすい場なので、本人・家族が置いていかれないよう、平易な言葉に置き換えて確認していくことが実務上とても大切です。
在宅側(ケアマネ・訪問看護)が準備しておくことは?
限られた時間を活かすには、事前準備がすべてと言っても過言ではありません。準備が薄いと、退院後に「あれを聞いておけばよかった」となりがちです。
聞いておきたいのは、退院後に想定される急変・悪化のサインとそのときの連絡先、服薬や処置の具体的な手順、在宅で使う医療機器の管理方法、そして本人・家族が退院後の生活で最も不安に感じている点です。ケアプランの方向性を仮に描いたうえで、「この点だけは当日確認する」というメモを持って臨むと、消化不良を防げます。
なお、カンファレンスは病院主導で進みがちで、在宅側が発言するタイミングを逃すこともあります。最後の確認パートで遠慮せず質問することが、退院後の安定につながります。
加算との関係は?
退院前カンファレンスは、報酬上の加算とも結びついています。要件を満たすことで算定できるものがありますが、単位数・回数・書類などの詳細は改定で変わるため、最新の報酬告示や自治体の案内で必ずご確認ください。
| 加算(対象) | 大まかな要件 |
|---|---|
| 退院時共同指導加算(訪問看護) | 入院中の医療機関と共同で在宅療養上必要な指導を行い、文書で情報提供。原則として入院中1回(国が定める疾病等は2回まで) |
| 退院・退所加算(居宅介護支援=ケアマネ) | 医療機関等から情報提供を受け、うち1回以上はカンファレンスによること等。面談を経てケアプランに反映 |
いずれも「入院中の医療機関ときちんと連携したか」が問われる加算です。算定のためだけでなく、実際に切れ目のない在宅移行を実現するための連携と捉えるのが本筋だと考えています。
よくある質問(FAQ)
Q. 退院前カンファレンスは誰が主催・司会しますか?
多くは病院側(退院調整看護師や医療ソーシャルワーカー)が主催・司会します。地域や病院の運用によってはケアマネジャーが進行を担うこともあります。
Q. 所要時間はどのくらいですか?
概ね15〜30分の短時間で行われることが多いです。だからこそ、在宅側の事前準備が結果を左右します。
Q. 本人や家族も参加できますか?
はい。本人・家族の参加はむしろ重要で、退院後の生活の不安を直接伝えられる貴重な機会です。
Q. 訪問看護師は必ず参加しないといけませんか?
必須ではありませんが、医療ニーズが高いケースでは参加が望ましいです。参加が難しい場合は、書面や事前のやり取りで情報を補う方法もあります。
Q. オンライン(ビデオ通話)での参加は可能ですか?
本人の同意など一定の条件のもとで、リアルタイムのビデオ通話による参加が認められる場合があります。取り扱いは制度改定で変わるため、最新の要件をご確認ください。
運営者情報・ご相談窓口
この記事は、札幌市東区で訪問看護・訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅を運営する合同会社TOURIが作成しています。退院後の在宅療養や訪問看護の導入について、地域のケアマネジャー・医療機関の皆さまからのご相談を承っています。
- 訪問看護ステーション桃李 札幌東(札幌市東区北40条東7丁目5-19、TEL 011-733-5555)
- ヘルパーステーションひのき(札幌市東区中沼西4条1丁目1番5号フィルドハウス202号、TEL 011-214-9231)
- サービス付き高齢者向け住宅 ひまり(札幌市東区中沼西3条2丁目1番13号、TEL 011-791-2500)
お問い合わせ: https://touricare.net/contact/
参考(出典)
- 熊本県看護協会「退院前カンファレンスに参加した場合の退院時共同指導加算の算定について」 https://www.kna.or.jp/c5/q21
- 横須賀市「退院前カンファレンスの流れ」 https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp
- 吹田市「退院前カンファレンスチェックシート」 https://www.city.suita.osaka.jp
- 退院時共同指導加算・居宅介護支援の退院・退所加算の要件は、厚生労働省の各年度介護報酬・診療報酬改定の告示・通知に基づく。最新の取扱いは厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp)およびお住まいの自治体でご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の算定可否や制度の詳細は、主治医・担当ケアマネジャー・お住まいの自治体・保険者にご確認ください。


