2026年08月18日
札幌はお盆を過ぎても、まだ暑い日が続きますね。この夏、暑さや脱水で体調をくずして入院され、ようやくお家に戻られた方も多い時期だと思います。
「無事に退院できてよかった」。ご本人もご家族も、まずはほっとされるはずです。ただ、訪問看護の現場で日々うかがっていると、私は退院してお家に戻った直後こそ、いちばん気を配りたい時期だと感じています。退院後の在宅での暮らしは、退院がゴールではなく、生活の再スタートだからです。この記事では、退院後の最初の2週間ほどで気をつけたいことと、ご家族がさりげなく確認できるポイントをお伝えします。
退院はゴールではなく、暮らしの再スタート
病院という整った環境から、いつものお家に戻る。それだけで、体にはけっこうな変化が起きています。
入院中はどうしても体を動かす時間が減るため、入院をきっかけに体力や足腰の力が落ちてしまうことは珍しくありません。数日から数週間の入院でも、退院したら「前はできていた入浴のまたぎがつらくなっていた」ということが起こります。さらに、退院のときに薬の内容が変わっていることも多く、環境も生活リズムも一気に切り替わります。
だからこそ、退院直後は体調がゆらぎやすい時期です。国の研究でも、とくに認知症のある方では退院してすぐの時期に体調をくずして再び入院になりやすいことが報告されています。決して脅かしたいわけではありません。「退院した直後はゆらぎやすい」と知っておくだけで、早めに気づいて、早めに相談できるからです。
私たちがよく出会うのは、こんな場面です
ここで一つ、よくある場面をお話しします。これは特定の誰かの話ではなく、退院後のお宅でよく出会う光景です。
夏に食欲が落ちて水分もとれなくなり、点滴のために入院。数日で回復して退院し、お家に戻ってきました。ところが数日後、うかがってみると、どこか元気がありません。よく見ると、入院前と薬が変わっていて、お家のお薬カレンダーと合っていない。飲んだかどうか分からず、同じ薬を重ねて飲んでいた日もあれば、飲み忘れていた日もある。食欲はまだ戻らず、水分も進んでいません。足にはむくみ。ご本人に聞くと「大丈夫だよ」とおっしゃる。離れて暮らすご家族は、その変化になかなか気づけません。
こうした場面は、ご本人がだらしないからでも、ご家族の見守りが足りないからでもありません。退院直後は、誰にとっても情報がとぎれやすく、体調も整いにくい。それだけのことなのです。
退院後によく起きる3つの変化
1. 薬が入院前と変わっている
入院中に薬が見直されるのはよくあることで、国も高齢の方の薬は、種類が増えすぎないよう退院後も見直していくことが大切だとしています。退院後に役立つのが、お薬手帳と、退院時にもらう薬の説明書をひとまとめにしておくことです。飲む時間ごとに小分けできるお薬カレンダーに、新しい内容で入れ直しておくと、飲んだか飲んでいないかが一目で分かりやすくなります。「入院前と何が変わったのか分からない」というときは、かかりつけの薬局の薬剤師さんや、かかりつけ医、訪問看護に遠慮なく聞いてみてください。
2. 体力や「できること」が少し落ちている
入院で動く機会が減ると、足腰の力は思った以上に落ちます。退院してすぐに入院前と同じ動きを求めず、段差や浴室など転びやすい場所から気をつけていくと安心です。手すりや滑り止めがあると心強い場面もあります。無理に頑張らせず、少しずつ体を戻していく気持ちでいると、ご本人も焦らずにすみます。
3. 食欲や水分がまだ戻っていない
退院してすぐは、食欲や水分のとり方が入院前まで戻らないことがよくあります。この時期はまだ暑さも残っていますから、一度にたくさんではなく、少しずつ回数を分けて食べたり飲んだりできる工夫が役立ちます。むくみが強い、ぐったりして反応が鈍い、といったときは、我慢せず早めにかかりつけ医や訪問看護に相談してください。
帰省や面会のときに、さりげなく確認したいこと
お盆やお休みで久しぶりに会うときは、それとなく様子を見るよい機会です。確認したい点を並べておきます。問いつめる必要はありません。世間話をしながら、そっと見ておく程度で十分です。
- 食事の量と回数は、入院前と比べてどうか
- 水分をとれているか(飲み物が減っているか)
- 薬を飲んだか分からなくなっていないか、残り方に偏りがないか
- 足やまぶたのむくみ、急な体重の変化はないか
- 歩き方がふらついていないか、家の中で転んでいないか
- 表情や会話に、いつもと違う元気のなさはないか
- 傷や医療機器(酸素やストマなど)まわりに、赤みやトラブルはないか
一つでも「あれ?」と思うことがあれば、それを覚えておいて、後で相談するときに伝えていただけると、とても助かります。
気になったら、抱え込まずに
退院後のお家での暮らしは、ご本人もご家族も、手探りになりがちです。「これくらいで相談していいのかな」とためらう必要はありません。気になることがあれば、気軽に声をかけてください。いまの様子(食事の内容や回数、薬の飲み方、むくみの有無など)を、そのままケアマネジャーさんや、私たち訪問看護に教えていただければ、一緒に考えていけます。
当ステーションの相談は無料で、契約や訪問を前提にしたものではありません。「まず話を聞いてほしい」だけでも大丈夫です。退院後の不安な時期を、どうか一人で、ご家族だけで抱え込まないでください。
お問い合わせは、こちらのフォームからどうぞ。お問い合わせフォーム
訪問看護ステーション桃李札幌東
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