2026年04月03日
📋 この記事は「在宅連携の教科書」シリーズの一部です。
ケアマネジャー・退院支援看護師・医療職の皆さまへ、訪問看護との連携に役立つ情報をお届けします。
はじめに
「退院してきたけど、また入院になるんじゃないかと心配で……」「在宅酸素を使っている利用者を担当しているが、何かあったときどう動けばいいかわからない」——心不全やCOPDの担当ケースで、こうした不安を感じたことはありませんか?
心不全・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、病状が波を繰り返しながら進行する疾患です。在宅での安定した療養を続けるためには、日々の細かな変化を見逃さない専門的な観察と、再入院を防ぐ早期対応が欠かせません。
本記事では、心不全・COPDの在宅療養における訪問看護の具体的な役割と、ケアマネジャーが押さえておきたい支援のポイントをお伝えします。
心不全・COPDの在宅療養で知っておきたいこと
COPDと在宅酸素療法(HOT)
COPDが進行すると肺機能が著しく低下し、血液中の酸素が不足する「呼吸不全」を来すことがあります。この場合、自宅で酸素供給機器を使用する在宅酸素療法(HOT)が導入されます。
呼吸状態が改善されると心臓への負担も軽減されるため、入院回数を減らすことにも直結します。ただし、酸素流量の管理や活動時の使い方など、日々の指導が継続的に必要です。
「終末期」の目安を知っておく
心不全・COPDが進行した場合の終末期の目安として、以下が参考になります。ケアマネとして担当ケースの方向性を考える際の参考にしてください。
末期心不全の目安
– NYHA重症度分類でⅣ度の症状が慢性的に続き、頻回または持続的な点滴薬物療法が必要な状態
– 左室駆出率(LVEF)が20%以下
呼吸器疾患の終末期の目安
– 適切な治療を受けていても在宅酸素療法やNPPV(非侵襲的陽圧換気)が継続的に必要
– 過去6か月以内に10%以上の体重減少がある
これらの状態に近づいている場合は、早めに訪問看護・在宅医との連携体制を強化することをお勧めします。
現場でよくある2つのケース
ケース1:COPDで在宅酸素を使用している方
気胸による緊急入院後に退院し、在宅酸素を使いながら自宅で生活しているケースです。時折息苦しさを感じるものの、自宅での生活を強く希望されています。
訪問看護では、バイタル測定・むくみチェックに加えて以下の支援を行います。
- 呼吸練習の指導:「苦しいときはろうそくを吹き消すようにゆっくり吐く」口すぼめ呼吸・腹式呼吸の練習
- 在宅酸素の具体的な使い方指導:「トイレや階段の昇降など動く15分前に酸素を吸ってから動く」など活動に合わせた使用方法
- 増悪サインの早期察知:息苦しさの変化・痰の量・体重変動などを継続観察し、悪化を見逃さない
ケース2:重症心不全で強心剤の持続投与が必要な方
カテコラミン製剤などの強心剤を持続投与しなければ状態が維持できない重症心不全の方でも、全身状態が安定していれば携帯型ディスポーザブル注入ポンプや輸液ポンプを用いて在宅での持続投与が可能です。
医師の管理のもと、訪問看護師が機器の状態確認・観察を担い、安全に在宅療養が継続できるよう支援します。「こんな重症でも在宅に戻れるの?」と感じた場合は、まずご相談ください。
ケアマネが知っておきたい訪問看護の役割
① 日々の観察と再入院予防
心不全・COPDは「小さな変化が大きな増悪につながる」疾患です。訪問看護師は以下を継続的にモニタリングし、変化を早期に主治医へつなぎます。
- バイタル測定・体重変化・むくみの観察
- 在宅酸素機器・輸液ポンプの状態確認
- 服薬確認・医療処置の補助
- 息苦しさ・倦怠感などの自覚症状の変化
息苦しさやむくみのサインを見逃さず、早めに医師へつなぐことが再入院を防ぐ最大の鍵です。
② 緩和ケア・在宅麻薬管理
末期心不全・呼吸器疾患の終末期の方には、自宅で麻薬注射を用いた疼痛・症状緩和(在宅麻薬等注射指導管理)を行うケースがあります。制度上も「在宅麻薬等注射指導管理料」として評価されており、在宅での緩和ケアを支える体制が整っています。
③ 頻回訪問への対応
末期心不全・呼吸器疾患の終末期の方は、制度上、通常の訪問回数制限の一部から除外されており、状態に応じた頻回な訪問が可能です。「週に何回も訪問が必要かもしれない」というケースでも、遠慮なくご相談ください。
④ ご家族への介護指導と精神的サポート
「急に苦しくなったらどうすればいいか」「これは救急車を呼ぶべきか」——ご家族が一人で判断を抱え込まないよう、緊急時の対応方法を具体的に指導します。予測される病状の変化を事前に共有することで、先の見えない不安を軽減し、在宅継続を支えます。
まとめ
心不全・COPDの在宅療養を安定させるためには、在宅酸素管理・強心剤の持続投与・緩和ケアなど状態に合わせた医療処置と、日々の変化を見逃さない継続的な観察が欠かせません。
訪問看護は医療機関と在宅生活をつなぐ架け橋として、利用者本人とご家族を専門的・継続的にサポートします。「このケースは在宅で大丈夫?」と迷ったときこそ、早めにご相談ください。
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