2026年11月03日
こんにちは。札幌市東区の訪問看護ステーション桃李札幌東です。
11月30日は「人生会議の日」です。「いい看取り・看取られ」の語呂合わせから、厚生労働省が2018年に定めました。
人生会議という言葉は聞いたことがあっても、「縁起でもない気がして言い出せない」「親に何と言えばいいのか分からない」という方は多いと思います。私たちも訪問先で、ご家族から「本当は聞いておきたかったけれど、きっかけがなくて」というお話をよく伺います。
今日は、むずかしい話し合いの中身ではなく、話し始めるための最初の一言と、そのときに大切にしたいことに絞ってお伝えします。
人生会議は「決める会議」ではありません
人生会議は、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称です。もしものときに、どんな医療やケアを望むのかを、本人が前もって考え、家族や医療・ケアの関係者と話し合って共有しておく取り組みのことです。
「会議」という名前なので、きちんと結論を出さなければいけないように感じるかもしれません。けれど、厚生労働省も、人生会議は一度で終わるものではなく、気持ちの変化に合わせて繰り返し話し合うものだとしています。今日決めたことが来年変わっても、まったくかまいません。
ですから、最初の目標は「決めること」ではなく、「この話をしてもいいんだ」という空気を家族の中につくることです。最初はそれで十分です。
話し始めるきっかけになる一言
いきなり「延命治療はどうする?」と聞かれると、聞かれた方は身構えてしまいます。まずは、身近な出来事を入り口にするのがおすすめです。たとえば、次のような一言です。
「テレビで人生会議の日って言ってたけど、聞いたことある?」
「〇〇さんのお見舞いに行ってきたんだけど、お母さんだったらどうしてほしい?」
「最近、自分のことも考えるようになってね。お父さんは、元気なうちにやっておきたいことってある?」
ポイントは、相手を心配している気持ちや、自分自身のこととして話すことです。「お母さんが弱ってきたから」と聞こえると、責められているように感じる方もいらっしゃいます。「私も考えているから、一緒に考えたい」という形にすると、ぐっと話しやすくなります。
また、お正月やお盆など家族が集まる時期、誕生日、健康診断の結果が出たときなども、自然なきっかけになります。年末年始の帰省を、ひとつの機会にしてみてもいいかもしれません。
治療の話より先に「大切にしていること」を聞く
話し始めたら、医療の細かい選択よりも先に、ご本人が大切にしていることを聞いてみてください。
「これからも続けたいことは何?」「どこで過ごしているときが一番落ち着く?」「されたら嫌なことはある?」
好きな食べ物、庭の手入れ、近所の友人とのおしゃべり、ペットと一緒にいること。こうしたお話の中に、その方らしい暮らし方が見えてきます。もしものときに家族が判断を迫られたとき、「お父さんなら、きっとこう言うよね」と考える手がかりになるのは、実はこうした日々の言葉です。
もうひとつ聞いておきたいのが、「もしも自分で決められなくなったとき、誰に代わりに考えてほしいか」です。ご本人が信頼する人が分かっているだけで、家族の負担はずいぶん軽くなります。
話がうまく進まなくても大丈夫
「そんな話はまだ早い」と言われることもあると思います。それも、ご本人の大切な気持ちです。無理に続けず、「また今度ね」と引いてかまいません。一度話題に出したことで、ご本人が後から考えてくださることもあります。
反対に、ご本人が話したそうにしているのに、家族の方がつらくて聞けないこともあります。そんなときは、一人で受け止めようとせず、ほかの家族や、身近な医療・介護の関係者に相談してみてください。
話した内容は、メモに残しておくと安心です。決まった書式はありません。日付と、ご本人の言葉をそのまま書いておくだけでも、後で家族の間で共有するときに役立ちます。厚生労働省のホームページなどで公開されている人生会議の手引きやリーフレットを、話し合いのきっかけに使う方もいらっしゃいます。
医療や介護の関係者も、話し合いに加わります
人生会議は、家族の中だけで完結させるものではありません。主治医、ケアマネジャー、訪問看護の看護師なども、話し合いに加わる関係者です。
たとえば、持病があって今後の見通しが気になるとき、どんな治療の選択肢があるのかは、主治医に聞いて初めて分かることも多くあります。家族で話したことを主治医やケアマネジャーに伝えておけば、いざというときに、ご本人の希望に沿った支援につなげやすくなります。
訪問看護の看護師は、ご自宅での暮らしの様子を見ながら、ご本人やご家族のお気持ちを伺うことができます。「家族だけだと話がまとまらない」「何から考えればいいか分からない」というときは、どうぞ声をかけてください。
まとめ
11月30日の人生会議の日は、家族で「もしものとき」の話を始める、ちょうどよいきっかけです。最初から結論を出す必要はありません。身近な話題から切り出し、治療のことより先に、ご本人が大切にしていることを聞いてみてください。うまく進まなくても大丈夫です。気持ちは変わるものなので、何度でも話し直せます。
ご相談はお気軽に
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