2026年02月12日
ひとつの役目を終え、静かな時間に戻っています。
ひとつの区切りがついた……はずなのに、心の中はまだ追いついていません。
準備をし、花を用意して、そばに並べました。
土いじりが好きだった人だったので、花を見たらどう思っただろう、と考えていました。
「お、いいね」くらいの軽い一言で笑ってくれそうな気もして。
そんな想像をする自分がいて、少しだけ救われました。
とても穏やかな表情でした。
周りに花を添えると、驚くほど映える。
色とりどりに囲まれているだけで、その場の空気が変わるのが分かりました。
言葉は少なくても、花はちゃんと「大切にしていた」を伝えてくれるんですね。
区切りの瞬間、頭では分かっているのに、体が納得しない。
「ここで本当に別れなんだ」と思った途端、急に息が浅くなる感じがしました。
悲しいというより、血がざわざわするような、うまく言葉にできない感覚です。
静かに待つ時間、思い出が勝手に出てきます。
会話の断片、表情、ふとした癖。
こちらが一生懸命だった場面もあれば、逆にこちらが救われていた場面もあって。
「支える側」なんて簡単に言うけれど、実際は、支えられていた瞬間も確かにあったんだと思います。
形が変わった存在と向き合う時間は、不思議でした。
さっきまでそこにあったものが、別のかたちで、なおそこにある。
現実なのに、現実じゃないみたいな感覚。
ひとつひとつ丁寧に向き合いながら、見えてしまうものがありました。
その人が生きてきた時間の重さ、体が積み重ねてきた歴史。
「人生を垣間見る」という言い方が、いちばん近いのかもしれません。
外に出たとき、空が妙に明るかった。
世界は何も変わらず動いているのに、こちらだけが少し置いていかれている。
そんな感覚が残りました。
関わってくださった方々と、短い言葉を交わしました。
「穏やかですね」
「会えてよかった」
その一言一言が、胸に残っています。
仕事としての関わりを超えて、人としての別れになっていた気がします。
そして、最後に残ったのは、ひとつの問いです。
これで良かったのだろうか。
すぐに答えは出ません。
きっと、出ない問いなのかもしれません。
でも、こういう問いが残ること自体が、この仕事の現実で、責任で、そして覚悟なんだと思います。
大切にしたいことがある。
守らなければならないこともある。
その両方の間で揺れながら、それでも現場は続いていく。
ひとつの役目を終えました。
ちゃんと向き合い、恥ずかしくないように送り届ける。
その役目は、果たせたと思いたい。



