【訪問看護の現場から】「水分、ちゃんと摂れてますか?」――札幌の夏、ご高齢の脱水を防ぐために家族ができること

2026年06月23日


こんにちは。札幌市東区で訪問看護・訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅を運営している、合同会社TOURI代表の森です。

毎年この時期、私たちが訪問先でいちばん神経を使うのが「脱水」と「熱中症」です。札幌は涼しいと思われがちですが、近年の夏は本州並みに暑い。そして在宅で暮らすご高齢の方の脱水は、本人もご家族も気づかないうちに進むのが本当に怖いところです。今日は現場で見てきたことを正直にお話しします。

高齢者の脱水予防は、夏の在宅ケアでいちばん大切なテーマのひとつです。ここでは、ご家庭ですぐに実践できる方法を、訪問看護の現場の視点でお伝えします。

夏の訪問で、よく出会う場面

私たちが夏によく出会うのは、こんな場面です。

窓は閉め切られ、エアコンは止まったまま。「電気代がもったいないから」と、薄手の長袖で過ごされています。「水分はとれていますか」と尋ねると、「あまり飲まないねえ。トイレが近くなるのが嫌だから」と笑って答えられる。離れて暮らすご家族に電話で様子を聞くと、「本人は元気だと言っている」とのこと。

ところが実際にそばで見ると、口の中が乾き、なんとなく言葉数が少なく、その日の尿の色は濃いめでした。本人もご家族も「いつもどおり」のつもりでも、体は静かに水分を失い始めている。これは特定の誰かの話ではなく、夏のあいだ私たちが各ご家庭で何度も出会う、典型的な光景です。

なぜ高齢の方は脱水になりやすいのか

歳を重ねると、体に蓄えられる水分量そのものが減り、「のどの渇き」を感じる力も鈍くなります。体は水分を欲しているのに、本人は自覚しにくい。「のどが渇いてから飲めばいい」は、ご高齢の方には当てはまりません。さらに、トイレが近くなるのを嫌って自分から水分を控える方も多い。家族に迷惑をかけたくないという遠慮が、結果として脱水につながってしまいます。

見逃さないでほしい、高齢者の脱水サイン

脱水は倒れて初めて気づくものではなく、必ず手前にサインが出ます。口の中や唇、わきの下の乾き。皮膚をつまんだときの戻りの遅さ。尿の量が減る、色が濃くなる。そして「なんとなく元気がない」「反応が鈍い」——この“いつもと違う”が、いちばん大事なサインです。離れて暮らすご家族は、電話での声のハリや受け答えの様子を気にかけてあげてください。

「水を飲ませる」だけでは足りないことがある

ここからは少し専門的な話です。汗を大量にかいた後や、下痢・発熱があるときは、水やお茶だけだと体内の塩分(ナトリウム)が薄まり、かえってだるさや食欲低下を招くことがあります。そういう場面では、水分と電解質を同時に補える経口補水液が役立ちます。ただし経口補水液は塩分・糖分を含むため、心臓や腎臓の持病がある方、塩分制限を受けている方は、量やタイミングをかかりつけ医に確認してから使うのが安全です。

もう一つ知っておいてほしいのが、お薬との関係です。利尿剤や一部の降圧剤、下剤などを使っている方は、もともと体の水分が抜けやすく、夏は脱水のリスクが上がります。「最近ふらつく」「暑い時期だけ体調が落ちる」——そんなときは自己判断で薬をやめず、必ず主治医や訪問看護に相談してください。飲み込みが弱くなってきた方には、とろみをつけた飲み物やゼリー飲料が誤嚥を防ぎながら水分を摂る助けになります。

家庭でできる高齢者の脱水予防

難しいことは要りません。「のどが渇く前に、こまめに」が基本です。起床時、食事ごと、入浴前後、就寝前とタイミングを決めると忘れにくい。一度に多くではなく、コップ1杯を1日に数回。みそ汁やスープ、ゼリー、果物など“食べる水分”も立派な対策です。そしてエアコン。「もったいない」と我慢される方が本当に多いですが、その我慢がいちばん危ない。目安は「室温」28度です。これはエアコンの設定温度のことではなく、部屋の場所や日当たりで室温は変わるので、温湿度計で測りながら設定を調整してください。迷ったらつける。これははっきりお伝えします。

私たちがいちばん伝えたいこと

脱水も熱中症も、防げる事故です。だからこそ「気づけるかどうか」がすべて。ご家族だけで毎日見守るのは大変ですし、本人は「大丈夫」としか言わないものです。私たち訪問看護・訪問介護は、その“気づく目”を増やすためにいます。専門職が定期的に訪問し、体調の変化を早めにつかんで、ご家族・かかりつけ医・ケアマネジャーと共有していく。この連携が在宅の安心を支えます。

「うちの親、最近ちゃんと水分摂れているかな」と感じたら、それが相談のタイミングです。札幌市東区とその近郊で在宅の療養・介護にご不安があれば、合同会社TOURIにお気軽にご相談ください。下記のフォームから、どんな小さなことでも受け付けています。

▶ ご相談・お問い合わせはこちら:https://touricare.net/contact/

この夏も、ご家族みなさんが安心して過ごせますように。


カテゴリー


最新記事