【訪問看護の現場から】夏に痩せていませんか?――ご高齢の方の「食欲低下と低栄養」を防ぐ家庭の工夫

2026年07月01日


こんにちは。札幌市東区で訪問看護・訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅を運営している、合同会社TOURI代表の森です。

夏になると、私たちが脱水と並んで気をつけているのが「食欲の低下」と、それが続いた先にある「低栄養」です。暑さで食が細くなるのは誰にでもありますが、ご高齢の方の場合、それが数週間続くと体の力そのものが落ちていきます。今日は、夏に見落とされがちな高齢者の低栄養予防について、現場の視点でお話しします。

高齢者の低栄養予防は、転倒や入院、フレイル(心身の活力低下)を防ぐうえで、夏のいちばん大事なテーマのひとつです。

夏に痩せていく、よくある場面

私たちが夏によく出会うのは、こんな場面です。

訪問すると、台所には冷たい麺類やお茶だけ。「暑くて作る気がしなくてね」「そうめんがあればいいの」と笑って話されます。ご家族に伺っても「ちゃんと食べてるって言うから」と安心されている。けれど、よく見るとここ数か月で服がゆるくなり、立ち上がりに力が入りにくくなっている。

これは特定の誰かの話ではなく、夏のあいだ各ご家庭で何度も出会う、典型的な光景です。本人もご家族も「夏だから少し食べないだけ」と思っているうちに、体は静かにやせ細っていきます。

なぜ夏に高齢者は低栄養になりやすいのか

暑さで食欲が落ちるのに加えて、ご高齢の方はもともと一度にたくさん食べられません。さっぱりした麺類や冷たいものが中心になると、糖質ばかりでたんぱく質が不足しがちです。さらに、噛む力・飲み込む力の低下、ひとり暮らしで作るのが億劫、といった事情が重なります。「食べているのに栄養は足りていない」が、夏に起きやすいのです。

見逃さないでほしい、低栄養のサイン

低栄養は、見た目だけでは気づきにくいものです。私たちが訪問時に注目しているのは、まず体重の変化です。半年で2〜3kg、あるいは「指輪や入れ歯が合わなくなった」「ズボンがゆるい」といった変化は要注意です。あわせて、握力が落ちて瓶のふたが開けにくい、疲れやすく外出が減った、風邪が治りにくい——こうした「なんとなくの衰え」も、低栄養とフレイルのサインです。離れて暮らすご家族は、帰省したときに前より小さくなっていないかを見てあげてください。

次の帰省・面会で、見た目をチェック

離れて暮らすご家族は、次に会うときに、この点をさりげなく見てみてください。

  • ズボンやベルトが、前よりゆるくなった
  • 指輪が回る・外れやすくなった
  • 入れ歯が合わなくなってきた
  • 立ち上がるとき、手をつくようになった
  • 食事が同じものばかり(麺類・冷たいものなど)
  • 食卓の品数・食べる量が減った
  • この半年で2〜3kg以上やせた

1つでも当てはまれば、低栄養・フレイルのサインかもしれません。印刷して持ち歩けるチェックリスト(PDF)もご用意しました。次の帰省のときに、ぜひお使いください。

見た目の変化チェックリスト(PDF・印刷用)をダウンロード

相談は無料です。すぐの契約や訪問を前提としません。お問い合わせはWEBフォームからどうぞ。対応エリアは札幌市東区とその近郊ですが、エリア外の方にもできる範囲で情報提供します。

たんぱく質を切らさないことが、いちばんの近道

ここは少し専門的な話です。低栄養予防の鍵は、エネルギーとあわせてたんぱく質をしっかり摂ることです。目安は、特別な制限がなければ毎食「手のひら一枚分」のたんぱく質食材(魚・肉・卵・豆腐・大豆製品・乳製品)を意識すること。食が細い方は、量を増やすより回数を分けるほうが続きます。

手軽な工夫として、いつもの食事に少し足す「ちょい足し」が効果的です。みそ汁に卵や豆腐、ごはんにしらすや納豆、麺類にツナ缶やサバ缶、間食にヨーグルトや牛乳。缶詰や卵は調理いらずで、暑い日でもたんぱく質を確保できます。

ただし、腎臓の病気などでたんぱく質や塩分・カリウムの制限を受けている方は、自己判断で増やさず、必ずかかりつけ医や管理栄養士、訪問看護に相談してください。飲み込みが弱くなってきた方は、とろみやゼリー状のもの、栄養補助食品(飲むタイプ)も選択肢になります。

「うちの親の場合はどうだろう?」と思ったら、むずかしい判断はこちらでします。まずはいまの食事内容(食べているもの・回数)をそのまま、ケアマネジャーや当ステーションにお知らせください。それだけで十分です。

水分と栄養は、セットで

夏は脱水も同時に進みます。食事が細るとそこから摂れる水分も減るため、低栄養と脱水は連れだってやってきます。水分はこまめに、食事は「食べられるものを、少しでも栄養のあるものに」。この二つをセットで意識するだけで、夏の体力の落ち方は大きく変わります。

フレイルは、戻せる

お伝えしたいのは、フレイルや低栄養は「年だから仕方ない」ではなく、気づいて手を打てば戻せるということです。だからこそ早く気づくことがすべてです。ご家族だけで毎日見守るのは大変ですし、本人は「食べてるよ」としか言わないものです。私たち訪問看護・訪問介護は、体重や食事の変化を早めにつかんで、ご家族・かかりつけ医・ケアマネジャー・管理栄養士と共有し、その方に合った食べ方を一緒に考えるためにいます。

「夏に入ってから、なんだか小さくなった気がする」——そう感じたら、それが相談のタイミングです。札幌市東区とその近郊で在宅の療養・介護にご不安があれば、合同会社TOURIにお気軽にご相談ください。下記のフォームから、どんな小さなことでも受け付けています。

▶ ご相談・お問い合わせはこちら:https://touricare.net/contact/

暑い夏を、しっかり食べて乗り切りましょう。


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