認知症の方への接し方|札幌・東区の訪問看護師が伝える家族の関わり方

2026年08月12日


こんにちは。札幌市東区で訪問看護・訪問介護・サービス付き高齢者向け住宅を運営している、合同会社TOURI代表の森です。もうすぐお盆で、ふるさとに帰ってご家族と久しぶりに顔を合わせる方も多い時期です。今日は、私たちが日々の訪問で大切にしている認知症の方との接し方について、現場の本音を交えてお話しします。

「久しぶりに会った親が、同じ話を何度も繰り返す」「日付や約束があやしい」。そんな小さな変化に気づいて、どう声をかけたらいいのか戸惑うご家族は、とても多いのです。離れて暮らすご家族にこそ、知っておいてほしい話です。

認知症は、もう特別なことではありません

国は以前、認知症の方が2025年には約700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人になると見込んでいました。近年の調査ではこの数字はやや下方修正されていますが、いずれにしても、認知症は誰の家族にも起こりうる、ごく身近な状態です。恥ずかしいことでも、特別なことでもありません。まずはそこから、肩の力を抜いていただけたらと思います。

「中核症状」と「まわりの症状」は違います

認知症の症状は、大きく二つに分けて考えると分かりやすくなります。一つは、脳の変化そのものから来る中核症状。もの忘れ、日付や場所が分からなくなる、段取りが立てにくくなる、といったものです。これは病気による変化なので、責めても元には戻りません。

もう一つが、不安・興奮・「物を盗られた」という思い込み・幻覚などの行動・心理症状(BPSD)です。厚生労働省の資料でも、これは中核症状に環境やまわりの関わり方が影響して起きる二次的な症状と説明されています。裏を返せば、関わり方しだいで、和らげることもできるということです。私たちが接し方を大切にするのは、このためです。

私たちがよく出会う場面

ここで一つ、現場でよく見る場面をご紹介します。特定のどなたかの話ではなく、私たちが繰り返し出会う、よくある光景としてお読みください。

訪問すると、ご本人は同じ思い出話を何度も、はじめて話すように聞かせてくださいます。数分前のことは忘れていても、昔の話や、そのときの気持ちは生き生きと残っている。ところが「さっきも聞いたよ」と返されると、とたんに表情が曇り、口数が減ってしまう。もの忘れを恥ずかしいと感じておられる方は多く、それを指摘されると、自信をなくしていかれます。

「財布がない、盗られた」と繰り返される方もいます。ご家族にすれば身に覚えのない話でつらいのですが、ご本人にとっては「大事なものが分からなくなった不安」の裏返しであることがほとんどです。責めるより、一緒に探して「あった、よかったですね」と安心してもらうほうが、ずっと穏やかに収まっていきます。

否定より、安心を。関わりの三つのヒント

むずかしい技術は要りません。ご家族にお伝えしていて、役立つと言っていただけるのは、この三つです。

一つめは、否定も訂正も、あわててしないこと。「違うでしょう」と正すより、まず「そうなんだね」と受けとめる。事実の正しさより、ご本人が安心できるかどうかを先に置くと、驚くほど場が和らぎます。

二つめは、できないことより、できることに目を向けること。もの忘れは増えても、感情や昔の記憶、体で覚えた作業は残りやすいと言われます。昔話に耳を傾ける、一緒に洗濯物をたたむ。それだけで、ご本人の表情が戻ってくることがあります。

三つめは、責めないこと。失敗を指摘されるほど、不安や興奮は強くなりがちです。うまくいかなくて一番つらいのは、ご本人自身です。「大丈夫、一緒にやろう」の一言が、何よりの薬になります。

なお、症状が急に強くなったときや、薬のことで気になることがあるときは、自己判断で対応しようとせず、かかりつけ医や訪問看護にご相談ください。私たちは診断や薬の増減の指示はできませんが、ご本人の様子を見て、医師につなぐ役割を担っています。

お盆の帰省は、気づきのチャンスです

認知症は、早めに気づいて相談できるほど、ご本人もご家族も暮らしを立て直しやすくなります。毎日一緒にいると変化に気づきにくいものですが、久しぶりに会うご家族だからこそ気づけるサインがあります。お盆の帰省は、その大切な機会です。

離れて暮らすご家族へ ― 帰省のときの確認リスト

次の帰省や面会のとき、さりげなく見ていただけると安心なポイントをまとめました。印刷して持っておくと役立ちます。

  • 同じ話や同じ質問を、短い間に何度も繰り返していないか
  • 日付・曜日・季節が、たびたびあやしくなっていないか
  • 冷蔵庫に同じものがいくつも、または傷んだ食材がたまっていないか
  • 薬の飲み残しや、郵便物・支払いのため込みがないか
  • 身だしなみや部屋の様子が、以前と変わっていないか
  • 「盗られた」「知らない人が来る」など、不安そうな話が増えていないか

一つでも気になることがあれば、それは相談の合図です。「なんだか少し変わったな」というご家族の勘は、たいてい当たっています。気になることがあれば、どうぞ気軽に声をかけてください。いまの様子(もの忘れの程度・困っている場面・お薬)を、そのままケアマネジャーや当ステーションに教えてください。一緒に考えます。相談は無料で、契約や訪問を前提としたものではありません。

札幌市東区とその近郊で、ご家族の認知症や在宅の療養・介護にご不安があれば、合同会社TOURIにお気軽にご相談ください。下記のフォームから、どんな小さなことでも受け付けています。

▶ ご相談・お問い合わせはこちら: https://touricare.net/contact/

ご本人もご家族も、住み慣れた家で穏やかに過ごせますように。

訪問看護ステーション桃李札幌東(札幌市東区)/ 電話 011-733-5555 / touricare.net


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