高齢の親の昼夜逆転|生活リズムの整え方と家庭でできる工夫

2026年10月27日


「離れて暮らす親と電話がつながる時間が、だんだん遅くなってきた」「日中はうとうと眠っていて、夜中に電話がかかってくる」——そんな変化に気づいて、心配になっていませんか。年齢を重ねると、眠りのリズムは少しずつ変わっていきます。中でも、昼と夜の生活が入れ替わってしまう昼夜逆転は、ご本人よりも、離れて暮らすご家族が先に気づくことが多いものです。

私たちは札幌市東区で訪問看護をしていますが、季節の変わり目や日が短くなるこの時期は、生活のリズムが乱れやすいと感じています。この記事では、高齢の方の昼夜逆転がなぜ起きるのか、そして生活リズムを整えるために家庭でできる工夫を、できるだけ具体的にお伝えします。最後に、離れて暮らすご家族が次の帰省や面会でさりげなく確認できるチェックリストも用意しました。

年齢を重ねると、眠りは変わっていきます

「若い頃はぐっすり眠れたのに、最近は夜中に何度も目が覚める」。高齢の方からよく聞く言葉です。これは特別なことではなく、加齢に伴う自然な変化でもあります。年齢とともに体の中の時計(体内時計)のはたらきが少しずつ変わり、眠りが浅く、途中で目が覚めやすくなっていきます。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、65歳以上の方はベッドや布団の中で過ごす時間が8時間以上にならないことが一つの目安として示されています。長く横になっていればよく眠れる、というわけではないのですね。眠れないまま布団の中で過ごす時間が増えると、かえって「眠れない」という感覚が強まってしまうこともあります。

私たちがよく出会う、こんな場面です

ここで一つ、よくある場面をご紹介します。特定の誰かの話ではなく、日々の訪問で私たちがくり返し出会う、よくある光景をひとつにまとめたものです。

ひとり暮らしの高齢の方。朝は10時、11時ごろにようやく起き出して、朝ごはんとお昼ごはんを兼ねた軽い食事をとります。午後はテレビをつけたまま、うとうとと長い昼寝。夕方に少し目が覚めても、夜になると今度は眠れず、深夜にテレビを見たり、冷蔵庫を開けたりして過ごします。薬も「朝の分」「昼の分」の飲むタイミングがずれてしまい、飲み忘れが増えていきます。

久しぶりに顔を出したご家族が「昼間にこんなに寝ていて大丈夫かな」「夜眠れていないみたい」と気づく——こうした場面に、私たちは本当によく出会います。ご本人は「困っていない」とおっしゃることも多く、まわりが先に心配になる、というのがこの問題の特徴です。

昼夜逆転の背景にあるもの

昼夜逆転は、単なる「怠け」や「気のゆるみ」ではありません。いくつかの要因が重なって起こります。

一つは、先ほどの体内時計の変化です。加齢によって睡眠が分断されやすくなり、日中の眠気が増えて昼寝が長くなると、その分だけ夜の眠りが浅くなる、という悪循環に入りやすくなります。

もう一つは、日中の活動量や光を浴びる機会の減少です。外出がおっくうになったり、体調をくずして家で過ごす時間が長くなると、昼と夜のメリハリがつきにくくなります。特に夏の暑さや冬の寒さを避けて、日中も室内でカーテンを閉めて過ごしていると、体が「今が昼なのか夜なのか」を感じ取りにくくなります。季節の変わり目に生活リズムがくずれやすいのは、こうした背景もあります。

持病やお薬、心のしんどさが関わっていることもあります。気分の落ち込みや不安から夜眠れなくなることもありますし、認知症のある方では昼夜のリズムが乱れやすいことも知られています。背景はさまざまなので、「なぜ眠れないのか」を決めつけず、様子をていねいに見ていくことが大切です。

生活リズムを整えるために、家庭でできること

ここからは、ご本人やご家族がご家庭で取り入れやすい工夫をお伝えします。どれも特別な道具はいりません。無理なく続けられそうなものから、一つずつ試してみてください。

朝、光を取り入れる

体内時計を整えるうえで、いちばん手軽で効果的なのが朝の光です。朝に目から光が入ると、眠気に関わるホルモン(メラトニン)のはたらきが切りかわり、体内時計のずれがリセットされていきます。起きたらまずカーテンを開けて、部屋に朝の光を入れる。可能なら玄関先や庭、ベランダに出て、短い時間でも外の明るさを感じられると、なおよいでしょう。

昼寝は短めに、午後の早い時間に

昼寝そのものは悪いものではありません。ただ、長すぎたり夕方までかかったりすると、夜の眠りをさまたげてしまいます。昼寝は30分ほどまで、午後の早い時間までを目安にしておくと、夜の眠りを守りやすくなります。ソファで長時間眠り込んでしまう習慣があるときは、いすに座って休む、時間を決めて声をかける、といった工夫が役立ちます。

日中は体を動かし、夕方以降は静かに過ごす

日中に光を浴びて体を動かしておくと、夜の眠りが深まりやすくなります。散歩や庭仕事、デイサービスでの活動など、その方に合った過ごし方でかまいません。反対に、夕方から夜にかけては照明を少し落とし、静かな環境で過ごすと、体が自然と休むモードに入っていきます。

寝る前のカフェインと食事に気をつける

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインは、眠りをさまたげることがあります。夕食は就寝の3時間前までに済ませておくと、体が休みやすくなります。寝る直前のスマートフォンやテレビの強い光も、控えめにしておきたいところです。

離れて暮らすご家族へ ― 帰省で確認したいチェックリスト

離れて暮らしていると、毎日の様子はなかなか見えません。次の帰省や面会のときに、さりげなく確認してみてください。印刷して持っていける、簡単なチェックリストにまとめました。

  • 朝、何時ごろに起きているか(起きる時間が以前よりかなり遅くなっていないか)
  • 日中、うとうとしている時間が長くないか
  • 夜、眠れているか(夜中に起きて活動していないか)
  • 食事の時間や回数が乱れていないか(朝昼が一緒になっていないか)
  • 薬を決まった時間に飲めているか、飲み忘れが増えていないか
  • 日中にカーテンを開け、外の光を浴びる機会があるか
  • 「疲れた」「よく眠れない」といった言葉が増えていないか

いくつか当てはまっても、あわてる必要はありません。まずは気づくことが第一歩です。気になる項目があれば、その様子をそのまま書きとめておくと、あとで相談するときに役立ちます。

気になるときは、抱え込まずにご相談を

生活リズムの乱れは、ご本人にもご家族にも、少しずつ負担が積み重なっていくものです。眠れない背景に、持病やお薬、心や体の不調が隠れていることもあります。生活リズムを整える工夫を続けても様子が変わらないときや、日中の強い眠気・夜間の混乱などが気になるときは、自己判断で薬を増やしたり減らしたりせず、かかりつけのお医者さんや訪問看護に相談してください。

「こんなこと聞いてもいいのかな」とためらう必要はありません。気になることがあれば、気軽に声をかけてください。今の様子——たとえば起きる時間、眠れている時間、食事の内容や回数など——をそのまま、担当のケアマネジャーや当ステーションにお伝えいただければ、一緒に考えていきます。

札幌市東区を中心に訪問している私たちにとって、離れて暮らすご家族の「気になる」という気づきは、とても大切な入り口です。どうか一人で抱え込まず、遠慮なく頼っていただければと思います。

ご相談は無料で、契約や訪問を前提とするものではありません。まずはお話をお聞かせください。

訪問看護ステーション桃李札幌東
電話:011-733-5555
ホームページ:https://touricare.net/
お問い合わせ:https://touricare.net/contact/


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