2026年02月09日
施設の玄関を、あえて閉じない。
それは、私がこの事業を引き継いだときから続けてきた、意図的な選択でした。
高齢者施設だからといって、
すべての外出に許可が必要なのだろうか。
誰かの判断を待たなければ、外に出られない環境は、本当にその人らしいのだろうか。
そんな問いが、ずっと頭の中にありました。
もちろん、簡単な話ではありません。
年齢や体調、認知の状態によって、配慮が必要な場面はたくさんあります。
だからこそ、制度やルールだけで縛るのではなく、
人の目配りや気配りで支えることができないか。
そう信じて、現場の力に頼りながら続けてきた文化でもありました。
ただ最近、その「信じてきた選択」について、
立ち止まって考える時間が増えています。
自由を大切にすること。
安全を守ること。
尊厳を損なわないこと。
そのすべてを同時に満たす答えは、
実はとても難しいのだと思います。
どれかを守ろうとすれば、
どれかが揺らぐこともある。
それでも、判断を預かる立場として、
「考えなくていい選択」など一つもありません。
正直に言えば、
「これが正解だ」と言い切れる答えは、
今の私にはありません。
けれど、
考えることをやめないこと。
問いを持ち続けること。
簡単に結論を出さないこと。
それだけは、
この仕事を続けるうえで、
手放してはいけない姿勢だと思っています。
人を支える仕事は、
ときに重く、ときに迷いを伴います。
それでも、立ち止まりながら、
問いを抱えながら、
それでも前に進もうとする。
私はこれからも、
考え続けるという仕事から、
逃げないでいようと思います。


